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第48話 解決するカギ

last update Last Updated: 2025-06-26 12:05:51

 数時間後――。

「え~っとだな……」

 集まったメンバーを見回しながら俺は固まっていた。なぜならそこにはいつものメンバー以外の人がいたからなのだが、なんというかその……華やかなのだ。

――というか、いつの間にか人多くねぇぇぇぇぇ!? 

 いつものメンバー五人に、三和・遠野・妻野までいるし。さらになぜか正晴までいる。一番危ないって分かってんのかなコイツと心の中で独り言ちる。

「何で、こんなに多いの?」

 俺は率直な疑問を五人の方に向けた。

「ええと、玲子にあの後連絡したら、遠野さんと妻野さんもその神社に興味あるっていうから、じゃぁ一緒にどう? って話になって、こんな感じかな?」

 相変わらずのんびり屋さんっぷりの響子が俺の方にウインクする。

「はぁぁぁ~」

 先が思いやられてため息が出た。

「じゃぁ、そろそろ時間だから行くけどいいかな?」

「「「はぁ~い」」」

「「「いいよぉ」」」

「よっしゃ!!」

 なんだろう。なにか複雑な気分だなこれ。

 バス停に向けて歩き出した女子組の後を男子2人が付いていく。

「なぁ~、真司」

「なんだよ?」

「どの娘《こ》がお前のカノジョなの?」

「はぁぁぁ!?」

「とぼけんなって! いるんだろ?」

「い、いやいねぇし!! そもそもいたらそんな湖なんか怖くて行けないからな!! つうか、お前が一番気をつけなきゃなんねぇんだからな!! 普通来ないぞ!! お前バカなの!!」

 息を切らせながら正晴に否定する。

「わかった!! わかったから!! で、どの娘《こ》なん?」

――ぜんぜん分かってねぇなぁコイツゥゥゥゥ!!

 今日の行き先にとてつもなく不安がよぎっていく。

 バスの中ではもう完全に遠足状態だった。

 きゃいきゃいと女子組がはしゃぎながら最後尾を独占している。

 俺はもう何かを言うのをやめた。だ
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